「医療保険制度改悪法」の強行成立に抗議する

 

2015年6月2日

日本自治体労働組合総連合

書記長 中川 悟(談話)

 

 5月27日の参院本会議で「持続可能な医療保険制度等を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律案(医療保険制度改革関連法案)」の採決が強行され可決成立した。自治労連は、「国民皆保険」を揺るがし、国民の命と健康にさらなる格差を持ち込むこの「医療保険制度改悪法」の強行に断固抗議する。

 

この「医療保険制度改悪法」は、国民健康保険の財政運営を市町村から都道府県に移すことを柱としており、今まで市町村が独自に決めていた保険料が「平準化」等によって引き上げられ、住民負担が増加することは明らかである。現在でも保険料が高すぎるために、滞納や保険証の取り上げ等が問題になっているにも関わらず、この改悪により医療にかかれない住民がさらに増え、深刻な医療格差がさらに拡大する事態が避けられない。また、「医療費適正化計画」や、昨年成立した「医療介護総合法」に基づく「地域医療構想」の策定と一体で医療費抑制を進めることとなり、都道府県は医療費抑制をすすめる「司令塔」と化し、市町村は高すぎる保険料徴収強化を担うことになりかねない。「住民の福祉の増進」を基本的な役割とする市町村や都道府県に働く私たち自治体労働者の本来の仕事と、この制度改悪は相いれないものと言わざるをえない。

 

 政府は、国保財政に対して3400億円の財政支援を行うとしているが市町村による繰り入れ分(約3500億円)を補てんするだけで、定率国庫負担を増やさなければ、さらなる保険料高騰は避けられず、保険料の引上げか医療費抑制かという選択を、市町村に迫るものとなる。

また、入院給食の値上げ(1食200円)や、紹介状なしの大病院受診に対する定額負担(5千円から1万円)などによる患者負担増は受診抑制につながり、早期発見・早期治療の妨げとなり、必要な医療を適切に受けることができない事態を招くことになる。

さらに、安全性の担保のない先進医療と公的医療との併用を認める「患者申し出療養」の新設は、不確かな医療と保険外診療の拡大につながり、医療を受ける側にも提供する側にも、負担と不安を増大させるものでしかない。

 

 そもそも「税と社会保障の一体改革」と称し、社会保障の充実を理由として消費税増税を強行したにも関わらず、社会保障制度を次々と改悪することは国民を欺く行為であり、ましてや憲法で保障された基本的人権、生存権を侵す制度改悪は許されない。

 自治労連は、この「医療保険制度改悪法」を具体化させず、住民のいのちと健康をまもるため、職場・地域での宣伝を強め、共同した運動をさらに広げ進めるものである。