「保育所保育指針の改定に関する議論のとりまとめ」に関して(談話) 

2017年2月8日

書記長 中川 悟

 厚生労働省「保育所保育指針」は現場の保育所、保育士にとって保育の拠りどころであり、全国の保育所が一定の質を保ち、向上を図る上で、大変重要なものある。

 厚生労働省は10年ぶりとなる「保育所保育指針」の改定に向けて、告示(案)を示しパブリックコメントを実施したうえで3月末までに大臣告示、1年間の周知期間をおいて2018年4月より施行するとしている。

 昨年末に公表された、「保育所保育指針の改定に関する議論のとりまとめ」では、(1)乳児・1歳以上3歳未満児の保育に関する記載の充実、(2)保育所保育における幼児教育の積極的な位置づけ、(3)子どもの育ちをめぐる環境の変化を踏まえた積極的な位置づけ、(4)保護者・家庭及び地域と連携した子育て支援の必要性、(5)職員の資質・専門性の向上の5点について改定の方向性が示された。

 特に、「(1)乳児・1歳以上3歳未満児の保育に関する記載の充実」、「(2)保育所保育における幼児教育の積極的な位置づけ」が大きく取り上げられているが、小規模保育事業の拡大という認可保育所より基準が低い保育政策や、「愛国心」など特定の国家観を押し付けようとする「教育再生」に合わせて、子どもの今の幸せを保障する保育から小学校への準備のための保育への転換など、安倍政権の保育・教育政策が色濃く映し出されている。

 さらに、低すぎる最低基準の問題や、定員の弾力化などで子どもが詰め込まれている実態、保育労働者の劣悪な労働条件に起因する保育労働者不足の実態も不問にしている。

 とりまとめで指摘している、「(1)乳児・1歳以上3歳未満児の保育に関する記載の充実」では「保育指針においても、より積極的に位置付けていくことが必要である」ということに異論はなく、「考えられる具体的な保育内容」として例示されている記載ももっともである。しかし、最低基準上の有資格者の配置もままならず、定員の弾力化や面積基準が緩和され、1・2歳児が詰め込まれているような現状では、基準の改善こそ必要である。保育現場では、慢性的な保育士不足のなか、業務量は増加の一途をたどっている。保育士がゆとりをもって働ける保育条件と労働環境の実現こそが必要だと明記すべきである。

 「(2)保育所保育における幼児教育の積極的な位置づけ」では、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を10項目にわたって具体化し、5歳児後半のあるべき姿とそこからつながる小学校との接続が強調されているが、これはまさに保育所を小学校への準備のための施設にすることを意味しており、乳幼児期にしか味わえない喜びや楽しみを満喫し、その日、その時を幸せに生きるなど、すべての子どもが持つ権利を奪いかねないものである。

 自治労連は、「保育の学校教育の下請け化」に反対するとともに、すべての子どもが安心して生活し、主体的に遊ぶ保育を守り、子どもの幸せを守る保育労働者の健康と暮らしが守られる、よりよい保育指針をつくるために、国がその責務を果たすことを求め、パブリックコメントへの意見提出の取り組みなど運動を強化するものである。